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乳がんの記録 入院②手術

 手術当日、いつも通りに目が覚める。今日は朝食なし、もう水も飲めない。前日夜に下剤を飲んだのに便通がなくて、心配になる。今まで読んだ体験記では、「心配していても、朝には出る」とのことだったが…。この日は特に、今まで読んだ体験記を自分でシミュレーションする感じで手術に対応していった。手術の開始予定時間は13:30。

 いつも通りに検温・血圧測定の他、外来に行って心電図をとってくる。病室に戻り待っていると、今まで見たことがない人が来て手術する側の胸と足の甲にマジックで○印をつけられる。その後また別の人(だったと思う)が来て手術しない方の腕に点滴。痛くないのでほっとする。

 便通がないのが心配でしょうがない。昔はすごい便秘だったけど、ここ数年はそんなこともないのであまり心配していなかったのだがこんな時に限って…。原因はわかっていて、水分をあまりとっていなかったせいである。絶食のリミットが来る前に水分補給しておくべきだったのに、そこまで考えが至らず寝てしまったのだ。水を飲めば、すぐ出るんだけどな~と気ばかりあせる。点滴の水分に期待。そのせいか、10時くらいにトイレに行きたくなり、無事なんとかなりました(ほっ)

 あとは、ベッドでうとうとしながら過ごす。邪念がわかなくてすむので寝ているのが一番。経験がないせいか手術に対しては何の感情もなかったが、手術以外に心配なことがあった。それは手術の付添に来てくれる父が遠方からローカル線で来るのでちゃんと来てちゃんと帰れるかということだった。遅くなると電車がなくなるので、早く手術が終わってほしいのだが。その辺を加味して、手術を早い時間に設定してもらうようお願いしておけばよかった~と今から勝手に後悔。

 病院も大きいので私の病室までちゃんと来られるのかというのも心配だったが、11時すぎに大騒ぎしながら父がやってきた。あーあやっぱり(苦笑)でもここまでたどり着けたからよしとする。でも手術までまだ全然時間があるし、病室で話しているとうるさいので(私が他の人の見舞客で迷惑してイヤだったので)点滴をひきずりながら父を連れてエレベーターに乗り、下階の売店や食堂を案内。先にお昼に行ってもらった。

 13:00頃からいつ呼び出しが来てもいいように臨戦態勢に入るが、例のごとくここからが長かった…自分が待つだけなら全然気にしないのだが、付添の父の相手もしなければいけない気になるし父の帰りの時間も気になるので早く手術に入りたいのである。昼食を済ませてきた父と外の待合で時間をつぶそうとしたが、気を使ってベッドで休めと言われた。本当はそうしたかったのでほっとした。今日担当の看護師さんが来て、いろいろ説明してくれる。このとき、便通はないならないで大丈夫と聞かされた。全身麻酔だと腸の動きも止まるので、腸の上部をきれいにしておくのが下剤の目的とのこと。そうか、そうなのか…出なかったら浣腸なのかと思っていたからほっとした。それから弾性ストッキングをはいてさらに待機。点滴のパックがなくなりそう…。

 手術開始の時間は錯綜したが、14:30と言われたのがさらに来なくて来なくて本当に呼ばれたのが15時すぎだった。一旦病室を出るが、あっと気づいてベッドに戻る。案の定、貴重品を入れた引出の鍵が開いたままだった。鍵をかけて、改めてトイレに行って(待機の間に何度も何度も行ってるのだが…)父に貴重品入れの鍵を預け、看護師さんと歩いて患者専用エレベーターへ。ここで父とお別れ。

 そしてここからはドラマの世界…廊下で手術室付きの看護師さんに引き渡され、手術室に連れていってもらう。こちらを気遣っていろいろ話しかけてくれる。同じ階に手術室が複数あるようだ。厚さ10㎝くらいのステンレス製のドアの奥が手術台。メンバーは執刀の先生に看護師さん2人、麻酔の先生2人(通常は1人)…と思ったら部屋の片隅にオペ服を着て所在なさげに立っている若者が3人くらいいるのが目に入った。大学病院だからなあ。「病院へ行こう」という映画を思い出す。執刀の先生があいさつしてくれる。たった2回会っただけで手術されるってのも、すごいご縁だ。手術に上がってシャワーキャップみたいなのを被り仰向けに。手術用の照明が見え、ドラマの世界。手の甲に麻酔の針を刺す。これがちょっと痛い。「大きく息を吸って~」と言われ息を吸ったところで左の鼻がつまって呼吸しづらいのに気づき、ストップをかけて鼻をかませてもらう。手渡されたのがティッシュではなく手術用の不織布タオルだったが気にしている場合ではなく鼻をかんで渡す。麻酔を再スタートしドラマのように数を数え始める。ドラマだと5、6くらいで意識がなくなるが、私は10以上数えてしまい、「えっなんかださくない?」と思ったところで記憶が途絶えた。手術開始は15:20。

 もちろん自分は覚えていないが、手術は17:30頃終わり、父が先生から説明を受けたのが18:00頃だったとのことだ。父には「遅くなるといけないから先生から話を聞いたら帰っていい」と言っておいたのだが、それで帰るわけもなく私が麻酔からさめるのをずっと待っていてくれた。

 私は、面会時間終了10分前の館内アナウンスで目が覚めた。面会時間終了は20:00である。目が覚めて「えっ8時?お父さんは?」とあせった。そのうち本当に時間終了になり、アナウンスが聞こえてきた。そうこうするうち看護師さんが来て、私の目が覚めたのを確認すると父を呼びに行ってくれたらしく、父がやってきた。後で聞いた話によると、先生の説明が終わっていなくなった後、誰からの案内もなくずっと呼び出しを待っていたら面会時間が終わってしまい、受付に確認に行ったところで「まだ、会ってないんですか?」という話になったらしい。

 頭がぼけていて会話の内容も覚えていないが、いちおう術前に「リンパを取ったかどうかだけ聞いておいて」と言っておいたので「リンパ取った?」と聞いたが父は意味が分かっていなくてとんちんかんな答えだった。でも胸に管がささっていなかったからリンパ郭清はしていないと自分で判断できた。もう遅いので預かってもらった鍵だけもらって、父はすぐ帰っていった。麻酔は手術が終わったらすぐ覚めるって説明だったのに~どうして誰も起こしてくれなかったんだ~こんな時間から帰って電車あるかな~と心配でたまらなかったが、どうしようもなかった。

 その後、ぼんやりしていてよく覚えていないのだが、足はマッサージ機みたいなので挟まれてマッサージされていた気がする。カーテン1枚の隣は男の人らしい。どこかで「テラオカさ~ん、テラオカさ~ん」とずっと叫んでいる人がいてうるさくて落ち着かない。(看護師さんに注意されて声は止んだ)ここはイヤだなあと思っているとさっきの看護師さんが来て「今晩ここに泊まる?」と言うので「部屋に戻りたい」と言って、病室に帰してもらうことにした。てっきり手術室と同じ階に居ると思っていたのだが、廊下の移動だけで病室に帰ってきたのでここで初めて上の階に上がっていたんだとわかる。移動の途中天井の風景だけがくるくる変わってくのが、これまたドラマのようだった。

 何時間ぶりかで、消灯後の病室に帰還。自分の場所がやっぱり落ち着く。尿管がついているのでトイレに行く必要はないのだが、妙に気になりトイレに行きたいような気持になってしまう。そんな気持ちを紛らわすのにはテレビが一番。寝たままイヤホンとリモコンを手繰り寄せテレビ視聴。ケンミンショー面白い。続いてニュース番組。最後の特集で、乳がんを患いながら出産した女性を取り上げていて、「いやー何もこんな日に…」と思いながら見てしまう。聖路加にかかれるんだからセレブだよな…とか思いつつも最後には涙ぽろぽろ。番組が終わったころ疲れと眠気が一気に来て、そのままお休み。

 私は傷口の違和感以外傷みとかはほとんどなかったけど、人によっては痛くて熟睡できなかったり、頭痛が出る人もいるようだ。

 こうして、運命の長い長い1日は終わった。下手すると「なんかださくない?」が人生最後の記憶になる可能性もあったのだが、無事この世に戻ってこられてよかった。

 
 

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