« 12月はプチうつ | トップページ | プロジェクトA »

香港は路の上

 先月、羽仁未央さんの訃報を聞いて久々に色々思い出した。

 私が物心ついたころ、映画監督のお嬢さんということでよくテレビ番組で取り上げられていた。お父さんの撮影についてアフリカ滞在したり、その後学校へは行かず自宅教育とか、貧乏田舎者庶民の私には夢のような話だった。ご本人も子供ながら自分の意見をしっかり持った田舎にはいないタイプの女の子だった。

 その後香港在住と聞き、日本のしがらみから逃れたかったのかなと思ったのを覚えている。この本の存在は前から知っていたが、なぜか手にとることはなかった。香港映画を日本に紹介する仕事もしていたようだが、活動時期が私が香港映画を見るようになった時期よりずいぶん前で、映画関係の文章も目にしたことがない。香港関係の先輩なのに接点がなかった。

 「香港は路の上」というタイトルから、庶民的な、現地に溶け込んだ生活をしていたのかと思ったが、やっぱり彼女はセレブだった。住んでるところもディスカバリー・ベイとかセントラルとか、普通は20代の女の子が一人暮らしできないような場所。仕事もマスコミ関係、お友達として有名人の名前がさらりと出てくる。山口文憲さんとか、星野博美さんのエッセイに比べるとやっぱりお嬢様芸っぽく感じてしまう。

 思ったより写真が多く、そのほとんどが別のカメラマンの手によるもの。プロフィール写真はハービィ山口さんだ!彼女の文章でというよりは、写真も含めて総合的に香港を紹介しようという本のようだ。有名人でないとできない本の作られ方。無名の人が原稿持ち込みしてできる感じではない。

 ひがみ丸出しの評になってしまったが、香港マニアには80年代香港の風景が懐かしく、文章に出てくる風景も今はないもの(啓徳空港とか)が多く、いろんな意味で切なくなる。私よりも10年も早く香港に出会えて実際に住むこともできて仕事もできたなんて、本当に羨ましい。文中に地名がたくさん出てくるので、香港の地図を片手に場所を探しながら読んだ。より臨場感が増す。そして、彼女が生活していた80年代の香港はさぞかし面白いところだったんだろうなと思いを馳せる。

 彼女が見た香港を、私はもう見ることはできない。人生って意外と短いかもしれないから、見たい風景は若いうちに見ておかなきゃねと、若くなくなってから思う私だった。

|
|

« 12月はプチうつ | トップページ | プロジェクトA »

本で時空の旅」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92012/60830758

この記事へのトラックバック一覧です: 香港は路の上:

« 12月はプチうつ | トップページ | プロジェクトA »